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'06 Privee Zurich SHIDEN #2

MAKER:EBBRO
MODEL No.:821
SIRIAL No.:
DRIVER:H. KATOH、K. TAKAHASHI

 '77年、富士スピードウェイで行われていたGCレースに、1台のマシンが登場しました。国内で唯一「空気の見える男」と呼ばれる由良 拓也氏がデザインしたそのマシンは、かつて太平洋戦争で活躍した戦闘機の名を採って「紫電」と名付けられました。その美しいボディシルエットは、由良 拓也氏の名を一気に世に広めましたが、残念ながら成績の方は芳しいものではありませんでした。それから30年近くの歳月が経った'06年、現代版紫電がS-GTのGT300クラスに登場しました。
 デイトナプロトに使われているライリー社のシャシー、ライリーMk.11をベースに日米共同で制作された専用シャシー、ライリーMk.16に、由良 拓也氏がデザインした特徴的なカウルが被せられました。初代紫電が典型的なレーシングカーの、いわゆるウェッジシェイプであるのに対し、現代版紫電では逆にフロント部分が一番高く、リアに行くに従って低くなっていくという、典型的な流線型デザイン。そのフォルムが魚の鰹に似ている事から、「鰹フォルム」と呼ばれていました。この特徴的なデザインは、全てドライバビリティを考量した結果によるもので、2,790mmというGTマシン中最も長いホイールベースは車体の安定性の為に、短いフロントオーバーハングは、姿勢変化を少なくする為の配慮です。また、これに搭載されるエンジンは、同じくデイトナプロト用のエンジンの中から、最もパーツの手配が行い易いという理由によりレクサスにも搭載されるV8、4,000ccの1UZ-FEが選ばれました。パワーバンドが4,000〜6,000rpmと広く、マシンの開発コンセプトでもある「扱い易さ」が、ここにも現れています。
 もともとムーンクラフト内での「オリジナルカーを作りたい」という欲求が具現化したこの現代版紫電。この話がベルノ東海ドリーム28のオーナー兼ドライバーである高橋 一穂選手の耳に入り、S-GTのGT300クラスへのエントリーが決まりました。'06年の開幕戦に鳴り物入りで登場した紫電でしたが、シーズン序盤は初期トラブルに苦しめられます。第2戦からは性能調整で50kgのウェイトハンデを課せられますが、第3戦以降、ポールポジションを3度獲得してポテンシャルを発揮。ファーストドライバーの加藤寛規がギリギリまで引っ張り、後半で高橋一穂に替わるという作戦を徹底して第8戦で初優勝を飾りました。こうして紫電はシリーズタイトル争いを最終戦まで縺れさせますが、まさかの最終ラップでの逆転劇で、ほとんど手中に収めていたシリーズタイトルをRE雨宮に奪われたのでした。
 左のモデルは'06年のS-GT、300クラスに鳴り物入りで登場した紫電でエブロ製。正直な所、凄く不満の残るモデルです。横から見るとそれほど悪い印象は受けませんが、正面から見るとフロントのフェンダーアーチ部分の幅が車輛のトレッドに比して大き過ぎるのです。結果、モデルは正面から見るとなんとなくボッテリした感じが否めません。また、ライトレンズの上端が丸みを帯びてしまい、それがモデルのボッテリ感に拍車をかけています。マシンのカラーリングもおかしいですね。メタリックのカラーリングは光線の具合により見え方が変化するので、写真ではこのようなカラーリングに見えるものもありますが、実車はこんなに暗く濁った青ではありません。もう、不満だらけです!

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