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'07 WILLCOM ADVAN VEMAC 408R #62

MAKER:EBBRO
MODEL No.:899
SIRIAL No.:
DRIVER:S. SHIBAHARA、H. KUROSAWA

 ネオ・ヒストリック・レーシングカーとして'95年に発売されたオープン2シーターの「カドウェル」。自動車関連の研究・受託開発を生業とし、それまでFJ1600からGr.Cカーまで幅広いマシンの制作を行っていた東京R&Dが世に送り出したこのマシンは、レーシングカー故、公道での走行ができないという制約があったものの、軽量コンパクトでキビキビと走るマシンは評判が高く、公道走行が可能なロードゴーイングカーの製作が待ち望まれていました。
 そんな周囲の声に答える為か、後に「CR(Cadwell Road version) Project」と呼ばれる事になるロードバージョン化の話を、元レーシングドライバーの畑川 治氏(現東京R&D顧問)が東京R&Dの社長である小野 昌朗氏に提案した事により、マシンの開発がスタートします。
 '98年、かつて小野氏が設計したレーシングカーを走らせていたチームのマネージャーであり、現在はIT事業家であったヴァーノン・フォザリンガム(Vernon Fotheringham)氏の協力の元、東京R&Dとの合弁でVEMAC社をアメリカに設立。'70年代後半、ドームスポーツカー設計にも携わった事のある車両事業部の責任者の間宮 篤氏を中心に、小野氏の知人である元レーシングドライバーのクリス・クラフト(Chris Craft)氏の助力を得て、スポーツカーの本場イギリスで開発が行われました。車名(社名)の「ヴィーマック(VEMAC)」は、このプロジェクト関わった米日英のリーダーである、ヴァーノン氏(VErnon)、小野 昌朗氏(MAsao)、クリス(Chris)の3人の頭文字から命名されました。
 市販バージョンとして開発されたRD180には、インテグラ(DC2)に搭載されていたホンダ製B18C 1.8リッター VTECエンジンがミッドシップに縦置きで搭載され、新たにイギリスで自社開発したトランスミッションを介して駆動が伝えられます。スチールチューブ製のスペースフレームを骨格に持ち、コンパクトなボディと950kgという軽い車体、そこに搭載される適度なエンジンはこのマシンを軽快なハンドリングマシンに仕立て上げました。そして'02年、レーシングカー「カドウェル」から端を発するこのヴィーマックは、その出自を示すかのようにGT選手権にエントリーする事になります。
 '01年からポルシェ911 GT3RでJGTC(現SUPER GT
)に参戦していた東京R&Dでしたが、'02年3月、そのシーズンをVemac RD320Rで参戦する事を発表します。RD180の開発の為にイギリスに設立されたVemac Car Company Ltd社と東京R&Dとの共同で開発されたRD320Rは、RD180のパーツを一部使用しているものの、エンジンはNSX用のC32B V6エンジンを戸田レーシングがチューン、3,424ccにスケールアップして搭載。また、ミッションにはヒューランド製の6速シーケンシャルが採用されました。
 鳴り物入りで'02年Rd.2、GT300クラスに登場した320Rは、6回ものセーフティカーが入る波乱のレースをポール・トゥ・ウィンで制しその性能をアピール。その圧倒的なポテンシャルの為、シーズン後半に入ると1ランクの性能引き下げが課せられ、リストリクター径が絞られますが、その後もRd.6、7と連勝し、シリーズ2位でデビューシーズンを終えます。
 翌'03年、R&D SPORTは、ヴィーマックをGT500クラスへとエントリー。車輛は320Rをベースにボディを拡幅、ザイテック製ZV348型、3,500cc、V8エンジンを搭載した350R。しかしながら3大ワークスが激突し、加速する開発競争の中、明らかにポテンシャルが不足して苦戦を強いられ、残念ながらシリーズ最下位になってしまい、翌'04年シーズンは開発に専念する事になります。
 '04年シーズンを通して新たに開発された408Rは、無限(M-TEC)製MF408S型 V8 NA 3,995ccエンジンを搭載し、ミッションは350Rで使用していたヒューランド製の6速シーケンシャルからXトラック製へと変更されました。本来は'05年シーズンからの投入予定でしたが、前倒しして'04年最終戦に出場して13位完走を果たし、翌シーズンへの期待が膨らむ408Rでしたが、'05年、R&D SPORTはその活動方針を変更。'03年にGT500に投入した350RをデチューンしてGT300クラスへとステップダウンします。トラブルが多発し、成績は振るいませんでしたが、'06年にはGT500用に開発した408RをGT300へと投入します。搭載されるエンジンは、無限(M-TEC)製MF458S型 V8 4,499cc NAエンジン。本来はル・マン24h等のスポーツカー用エンジンですが、これをS-GT用に仕様変更したものです。
 エンジンの変更によりGT500仕様の頃と較べてドライバビリティが向上した408Rは、1勝を挙げてシリーズ5位で'06年シーズンを終了。そして翌'07年、SUGOでのRd.5からは遂に新車を投入。モノコックが一新されて剛性が上がった事と、より低重心化を進めることができた事により、それまでの速さに加えてコントロール性と安定感を手に入れ、シーズン後半は5、3、2、1位と順調にポイントを獲得。最終戦が最もウェイトハンデの効く富士スピードウェイだったこともあり、4位となり、シーズン3位となってしまいますが、'08年がもっとも楽しみな1台と言えるでしょう。
 左のモデルは'07年のGT300クラスにエントリーしたウィルコム・アドバン・ヴィーマック408Rの62号車でエブロ製。ようやくエブロが(自分の所だけじゃなくて)ヴィーマックの本命を発売してくれました。S-GTに参戦しているヴィーマックは320R、350R、408Rと、大きく分けて3種類ありますが、それぞれ外観が微妙に異なる為、モデル化が非常に困難だと言われていました。R&D SPORTのエース、柴原センシュのWebサイトで、以前モデル化の為の署名運動(?)がありましたが、アレは何年前だっけ?カッコ悪いエブロ号(350R)が先行発売された時、妥協して買わないで良かったと、ほっと胸を撫で下ろしています(笑)。
 モデルのデキは問題ないと思います。MINIMAX社製のレジンモデルで、細かいとこまで良くできてます。強いて文句を言うなら、モデルのデキではなくて、これだけ待たされた事に対してですね。ヴィーマックがGTにデビューしたのは'02年ですからねぇ・・・。外注のレジン製で出したって事は、販売台数が見込めなかったって事なんでしょうが、エブロはS-GTのオフィシャルメーカーなんだから、その辺を自覚してもっと早く発売して欲しかったです。ヴィーマックはGT300の中でも人気の高いマシンだと思うし。
 そうそう、ロードバージョンのヴィーマックとしては、現在RD200が発売されていますが、こんな車です。

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