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'09 COROLLA Axio apr #74

MAKER:EBBRO
MODEL No.:44229
SIRIAL No.:
DRIVER:T. IGUCHI、Y. KUNIMOTO

 MR-2に替わって'00年からMR-SをGT300に投入していたapr。ライバルチームのマシンがレベルアップするに従い、相対的に戦闘力が低下して行く中、'04年にはエンジン搭載方向の変更や足廻りを変更、さらに'06年にはエンジンをエスティマに搭載されている3.5L V6 NAの2GR-FEへと換装し、'07年には3度目のタイトルを獲得しました。
 未だ高い戦闘力があるのは事実でしたが、もともとホイールベースが短くピーキーな操縦特性を持ち、スイートスポットが狭いMR-Sを、ライバルとのアドバンテージが薄れてきてからも使い続ける理由はありません。aprではMR-Sからベース車両をスイッチする計画が持ち上がり、水面下でマシンの選定が行われていました。その結果フロントウィンドウの傾斜角がレース車輛として理想的である事、さらにディメンションに優れているとの理由で、カローラ・アクシオをベース車両とする事が決定、開発がスタートしました。全長やホイールベースが長い4ドアセダンは、レース車輛のベースとして適切であるとは考えられませんが、
MR-Sをベースにレーシングカーを開発していたaprにとって、カローラ・アクシオのロングホイールベースは、けしてネガティブなものではありませんでした。
 サスペンションを始めとする基本的なコンポーネンツはMR-Sのものを流用しており、駆動方式もベース車のFFからMRに変更し、トランスミッションもMR-Sのものを流用。搭載されるエンジンは、MR-Sに搭載されていたV6、3.5リッターの2GR-FEにD-4S(直接噴射だけではなく、ポート噴射式も併用した燃料噴射方式)を採用した2GR-FSEです。また、ドア下端をザックリと切り取って、全高は110mm下げられました。
 '09年1月8日にカローラ・アクシオでGT300クラスに参戦する事を発表したaprは、その翌日から始まった東京オートサロンでマシンを一般公開し、その大胆なエクステリアで大きな話題になりました。GT500マシンと同様の低いボンネットと盛り上がったフロントフェンダーアーチ、まるでDTMマシンを彷彿させるようなボディサイドの大胆な切り込みと大きなサイドフェンスと、市販車からは想像もつかないようなアグレッシブなデザインで登場したカローラ・アクシオは、その後2月下旬に富士スピードウェイでマシンの作動確認を行い、合同テストで実質的なシェイクダウンとなりました。
 ところが、開発当初に想定していたダウンフォースを獲得できていなかった事が判明した為、マシンにはシーズン途中で様々な変更が加えられました。
 まず、ボディサイドの切り込みは、開幕前に常識的なデザインに変更され、フロントフェンダー後端のエアアウトレットは、より大きなものへと変更されました。その他、シーズン前半にはリアフェンダー後端にフィンや、ボンネット上のスリットを追加したり、後半にはフロントフェイスも変更されました。
 S-GT3年目となる坂本 雄也とF3からステップアップした山内 英輝が乗るavexをメインスポンサーとするスカイブルーの31号車、前年までIS350に乗っていた井口 卓人と、FCJからのステップアップを果たした国本 雄資という、2人のTDPドライバーの手に委ねられ、全国のカローラ販売店数をゼッケンとする74号車の2台のカローラ・アクシオは、デビューシーズンの為、上記の様に様々なモディファイ、熟成をしながらの闘いになりましたが、開幕戦でいきなり5位(74号車)に入賞。その後は1ケタ台の結果を残しつつも、シーズンを通してのドライバーズポイントは10位(74号車)、11位(31号車:坂本)と、翌年以降へと期待を繋げるシーズンとなりました。
 左のモデルはaprが'09年にGT300に投入したカローラ・アクシオの74号車でエブロ製。始めてオートサロンで見た時には、そのあまりのアグレッシブさに驚きましたが、正直、シロウト目に見ても「あのフロントフェンダー後端のデザインじゃあ、フェンダー上部を通過する空気が剥離しちゃって、タイヤハウス内の空気は抜けないだろう」と思ってたので、シーズン中にフェンダーがモディファイされた時には、当然だろうと思いました。逆にボディサイドの切り込みが、開幕時点で無くなってしまったのは、ちょっと残念です。DTMっぽくってカッコ良かったんですけどねぇ。
 さて、モデルの方は、上述の前後フェンダーの処理が後期仕様になってるものの、ボンネットはスリット数が少ない前期仕様となっており、この辺の考証のチャンポン加減はエブロならでは。もう気にしてはいけません。個人的には、リアフェンダー後端〜トランクリッド〜バンパーのパーツのボディとの合わせがあんまりな状態で、「実は取り外し可能なのか?」と勘ぐってしまいます。
 それにしても、オートサロンでこの車を初めて見た時、「GT300もこういうデザインじゃないと、勝てないカテゴリーになってしまったのか?」と、一抹の不安を覚えました。GT300はやはりFIAのGT2(あるいはGT3)レギュレーションにしちゃった方が良いんじゃないですかねぇ?

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