Home > SUPER GT 2005~2009 > '09 ENEOS SC430 #6
'09 ENEOS SC430 #6

MAKER:EBBRO
MODEL No.:44182
SIRIAL No.:
DRIVER:D. Ito、B. Wirdheim

 '07年8月10日、日本自動車連盟(JAF)は、'09年から施行されるS-GTの新しい車輛規定を発表しました。その方針は、以下のようになります。
1. 近年高騰し続ける車輛開発費を抑え、マシンの性能の均一化を図る
2. 安全性を高める為空力性能を抑制し、旋回性能を'06年規定レベルまで落とす
3. 競技専用エンジンの搭載を認める(Fポン用90度V8、3.4Lエンジンとの共用)
4. 基本車輛の寸法に起因する有利/不利を是正する為、基本寸法の統一を図る(FRへの統一含む)
 1、2は、まぁ置いといて、マシンのバラエティがウリの1つであるハズのS-GTにおいて、そのバラエティの豊かさをスポイルする可能性がある3、4といった方針には、疑問の声が多かったのも確かです。しかし、DTMの例を見るまでもなく、要はレースが面白ければ、現金なファンはそんな事気にならなくなる訳で、今は只、S-GTが内部崩壊して国内からモータースポーツが1つ消える事が無いよう、より盛り上がる事を祈るだけです。
 さて、トヨタがその'09規定に則った新しいマシンの開発に入ったのは、実際に規定がまとまった(発表前の)'07年春の事。まずはベース車輛がSC430に決定されました。これは、空力性能に直結するボディ上面のデザインはベース車輛の形状を維持する必要がある為で、数種類の候補車種の中からの選択でした。
 市販車のモノコックをベースにカーボンコンポジットで補強していた旧規定のSC430と異なり、Cカー以来となるTRD内製のカーボンコンポジット製モノコックロールケージと前後パイプフレームで組まれた新規定のSC430。そのホイールベースは新規定上限の2,730mm(推定値)、全長×全幅は4,705mm×2,000mm(共に推定値)で、フォーミュラニッポン用3,399cc、V8 RV8Kエンジンをベースに開発されたRV8KGエンジンが搭載されました。
 こうして開発された'09規定のSC430は、'08年3月に1台目が

岡山でシェイクダウンされ、5月の鈴鹿で公開されたものの、テストしたドライバー達からは、高いボディ剛性への好意的な印象こそ得られたものの、エンジンのパワー不足に関する厳しい意見も多く、最大出力は前年までの3UZ-FEと同等ながら、排気量減によるトルク不足は如何ともし難く、更なる開発が必要となりました。
 ところが、'08年半ばには、他のライバル2社が'09年には新規定のマシンを用意できない事が分かります。新規定導入によりベンチマークのいない中、ライバルとなるハズのマシンは性能調整を受ける特認車輛となり、ますます開発目標の設定が困難になりました。
 で、'09年の開幕戦を迎えたトヨタ勢。ドライコンディションの予選で38、35号車が1-2位を獲得したものの、一転してウェットとなった決勝ではタイヤ選択を誤り、38号車の6位が最上位と、苦いデビュー戦となりました。続くRd.2では、36号車と38号車によるSC430同士の見応えあるバトルを制し、38号車が'09規定のSC430として初優勝を飾ります。しかし、この勝利はGT-Rがトラブルで失速した為に手に入れる事ができたものとも言え、SC430には、更なる開発、熟成が必要である事は明白でした。しかし、'09年シーズンはコスト削減の為、レース日程が2日間に短縮された事もあり、新型車輛を導入したトヨタ勢は思うように熟成が進まず、ライバルチームと較べて不利な状況に置かれていました。そんな中、トヨタ勢はお互いのチームの情報交換を密にする事によってそれをカバーします。'10年用に開発していたパーツを前倒しして投入したり、ランキング上位の2台(36、38号車)に新型エンジンを与えたりと、シーズン後半戦に入るとマシン開発に拍車がかかります。そして最終戦、トップの1号車から5ポイントビハインドの2位で迎えた36号車は、2位で決勝を終え、ノーポイントに終わった1号車を抜いて逆転チャンピオンに輝きました。'09規定唯一のマシンであるSC430が、そのデビューイヤーでタイトルを獲得したのでした。
 左のモデルは'09年規定で作られたENEOS SC430、6号車で、エブロ製。去年はツートンのオレンジでしたが、今年からアクセントとして白いラインが入るようになりました。こっちの方が断然カッコいいですね。チーム ルマンは、結果的に最高位は4位(2回)、シリーズ11位とパッとしませんでしたが、Rd.5では一時トップを快走を見せてくれました。
 さて、モデルの方は'09規定になってディメンションが変わったマシンをどの程度再現しているのか?が気になるポイントです。もしかしたらエブロの事だから去年までと変わんなかったりして・・・とか思ってたんですが、'08年の36号車と比較してみると、'08年仕様の全長が111.4mm、'09年仕様が115.9mmと随分長くなっており、ホイールベースは前者が60.9mm、後者が64.1mmと、これまた随分長くなっています。一方、全幅の方も0.6mm程大きくなっていますので、新規定によるディメンションの変化の再現は行っているようです。ただし、リアウィングがルーフラインより明らかに高い位置にあるのは×。それに、前後フェンダー後端の「穴が開くべき部分が開いてない」ってのも、ガックリきます。価格が上昇していますから、できればPMAのDTMマシンみたいなのを期待したい所です。アレは見事に開いてますからねぇ。それと、モデルの全長が伸びているにも関わらず、ボテッとした印象を受ける作りなのは相変わらず。SC430って、こんなにキャビンより後ろ長かったっけ?っと、毎年モデルを買う度に思います。今年はホイールベースが伸びた分、多少マシな印象になりましたが。
 本文でも触れましたが、'09規定のマシンがSC430のみという状態でスタートした今年のS-GT。個人的には、こういう状況である以上、SC430がシリーズタイトルを獲得すべきだと思っていました。「正直者が馬鹿を見る」という状態にだけはなって欲しくなかったですからね。最終戦を迎えるまで、ヒヤヒヤな状態でしたが、最後に劇的な逆転チャンピオンを達成して、正直ホッとしています。ホント、GT-Rの2連覇じゃなくて良かった。

inserted by FC2 system