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'09 R&D SPORT LEGACY B4 #62

MAKER:EBBRO
MODEL No.:44301
SIRIAL No.:
DRIVER: S. MITSUYAMA、T. YAMANO

 まだJGTCと呼ばれる'01年からSUPER GTに参戦し続けているR&D SPORT。元々はヴィーマックの開発/販売を行っている東京R&Dの関連会社であり、'02年からはそのヴィーマックをGT500やGT300クラスに投入して高い人気を誇っていました。'08年頃から資金繰りに苦慮していた同チームでしたが、遂に'09年にはそれが原因となり参戦を見合わせる事に。結局、R&D SPORTは、東京R&Dとの資本関係を抹消して完全独立、新たな体制でのS-GTへの参戦を模索していました。
 一方、'08年までGT300クラスにインプレッサを投入していたクスコレーシングチームは、ラリー活動に集中する為、'09年にはS-GTへ不参加となっていました。スバルのS-GTに対する活動はワークスによるものではなく、スバルの車輛をベースとして活動するチームに対して、STIを通して技術供与を行うというものであった為、スバルは自社の車をGTに投入するチームを別途探す必要がありました。
 こうして両者の思惑が一致した事により、'10年5月、R&D SPORTとSTIとのタッグが生まれました。R&D SPORT側から提示されたGT300マシン開発プロジェクトをベースに、車体開発制作およびチーム運営をR&D SPORTが行い、エンジンおよび駆動系のシステムをスバルが供給するという新しい体制でのスタートとなりました。
 スバル側の要望により、ベース車両にはフルモデルチェンジしたばかりのレガシィB4が選ばれ、レース用AWDマシンの開発が行われました。もともと高さを必要としない水平対抗エンジンをフロントミッドシップ化の上、さらに低い搭載位置にし、市販車ならば前席に相当するような位置にミッションおよびセンターデフを配置して重量バランスを改善。これに伴い、ドライバーズシートはBピラーよりも後ろにまで下げられ、さながらDTMマシンのよう。本来ならばクスコのインプレッサと同様にミッションをリアデフ直結にトランスアクスル化した方が重量バランスはさらに良くなりますが、今回はセンターデフからリアプロペラシャフトをリアデフへ、さらにセンターデフからフロントデフへと、エンジンの上を通してフロントプロペラシャフトを通すという方法を用いてAWD化されています。この方法の場合、インプレッサをGT用AWD化した方法と較べると、重量配分に劣るものの、フロント用のプロペラシャフトが短い分、信頼性は高いのではないかと思います。インプレッサ然り、フォードのRS200然り、僕個人としては、レース用の車輛は「(軽量化と信頼性、セッティングのし易さの観点から)部品点数が如何に少ないか?」が大きなポイントだと思うので、無理にAWD化する事はあんまりメリットとならないのではないかと思うのですが、AWD化により悪天候時のスタビリティ向上や、他車とのライン取りの違いによりオーバーテイクのチャンスが増える可能性がある事、そして一番は「スバル=AWD」という明確なコピーは、コマーシャルの観点から絶対に外せないポイントだったのであろう事は、容易に想像できます。
 一方フレームは、従来のGT300マシンに多用された「ベース車輛のモノコックとパイプフレームの組み合わせ」というよりも、カーボンコンポジットを多用したGT500マシンに近い方法で作られ、そこに被せられるボディは、最近の主流に則り、大きく盛り上がったフロントフェンダーを備えたアグレッシブな形となりました。
 搭載されるエンジンは、WRCやGTで十分煮詰められてきた、水平対抗4気筒のEJ20型ターボエンジンです。
 マシン開発中の'09年6月上旬、R&D SPORTは、シーズン途中の第6戦鈴鹿(Pokka 700km
)からレガシィB4によりGT300に参戦する事を発表し、さらに翌7月下旬にはドライバーとして山野 哲也、密山 祥吾を擁する等の参戦体制を発表しました。そして8月18日、R&D SPORTとSTIは、開発期間僅か3ヶ月という超速ペースでレガシィB4のシェイクダウンに漕ぎ着けたのでした。
 8月22日、遂に第6戦の開催される鈴鹿にレガシィB4が登場します。数日前にシェイクダウンを終えたばかりで、セッティングも不完全なままの状態であった為、練習走行ではトップタイムの6秒落ちという状態。さらに予選では途中でフロントデフケースの破損によるデフオイルの流出が原因で出火するというトラブルが発生。幸いコースマーシャルにより火は消し止められたものの、マシンは大きなダメージを負ってしまいます。そのダメージを修復して臨んだ翌決勝日でしたが、今度は前日のトラブルによりプロペラシャフトも破損していた事が発覚。結局デビューレースはグリッドに着くことができないという、残念な結果となってしまったのでした。
 左のモデルは'09年シーズン途中からGT300クラスに出場した、R&D SPORT LEGACY B4の62号車で、エブロ製。やっぱり予想通り、残念なデビューとなってしまいました。名誉の為にその後の事について書いておきますと、翌第7戦では18位完走、第8戦は最終戦に目標を据えて開発する為に不参加、そしてその最終戦では17周目にターボトラブルが発生しリタイアとなりました。翌'10年、レガシィB4はAWDを捨て、一転FRとして改めて出発する事になります。「テスト走行も限られるSUPER GTでは、デフが3つもある4WDを開発、セッティングするには、要素が多すぎて時間が足りない。2WDにすれば、これまでの経験も活かして、より確実にマシンのセッティングが煮詰められるため」という理由です。ほら、やっぱり僕が思ってた通り(笑)。おっと、「名誉の為」とか書いておきながら、ちっともフォローになってませんでしたな(苦笑)。
 さて、モデルの方は僕の印象よりも若干天井が高い気がしますが、概ね良好。タイヤハウスとタイヤとの隙間が空いてるのが気になりますが、パッツンパッツンのタイヤを履かれるよりはマシかな?

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