Home > Le Mans 1990 ~ 1999 > '98 TOYOTA GT One #27
'98 TOYOTA GT One #27

MAKER:MINICHAMPS
MODEL No.:430 981627
SIRIAL No.:1 of 2,400 pcs
DRIVER:U. KATAYAMA、A. SUZUKI、K. TSUCHIYA

 トヨタがル・マン用のマシンとしてドイツにあるTTE(TOYOTA TEAM EUROPE)で開発したGTマシン型式名称TS020、GT Oneは、トヨタがGT1レギュレーションを隅々まで研究し尽くして、1年半もの開発期間を費やした、GTに対する1つの答えであり、'92年にル・マンに出場し、初の日本人表彰台を獲得したTS010の後継機です。ポルシェ911GT1メルセデスCLK-LM等のマシンが、あくまでも市販車のボディデザインを継承しているのと異なる点では、一足先にデビューした日産のR390に似た部分がありますが、そのR390と比較しても明らかにGT1レギュレーションに特化したモデルである事は、そのボディデザインを見れば明らかです。
 特徴的なフロント・デザインが注目されがちなTS020ですが、ホントに特筆すべきな点はボディ後方にあると言えます。GT1レギュレーションには「規定サイズのラゲッジ・スペース(トランク・ルーム)がなければいけない」というものがありますが、これを逆手にとったトヨタは、そのラゲッジ・ルームに燃料タンクを入れる事によって、効率の良いスペースの利用法を手に入れたのです。GT1クラスにしては信じられない様な低いキャビン後方は、そうしたレギュレーションの研究によるものです。まぁ、こういった「重箱の隅を突く」様なトヨタのやり方に各所からの非難が集中したのは、言うまでもない事ですが・・・。
 軽い重量に合わせて、小さなパワーしか与えられていないTS020ですが、トヨタお得意の「フレッシュエア・システム(=ミスファイアリング・システム)」や専用に開発されたと言っても過言ではないミシュランタイヤにより、コーナーからの脱出速度も速く、他車を寄せつけない圧倒的なスピードを手に入れました。しかし、このフレッシュエア・システムが思わぬ所で足を引っ張ります。アクセル・オフ時でもエキゾースト内で燃料を爆発させ、タービンを無理矢理回転させるというこのシステムは、ターボ車特有のターボ・ラグを回避させる為の物ですが、常に燃料を噴射する為燃費が悪いのです。また、アクセル・オンで常に高出力を得られる為、ミッションにも大変負担がかかります。燃費の悪さに関しては、ピットインの回数を増やしてもあまりある程の他車とのタイム差がある為、それ程問題にはなりませんが、結局ミッションはレース中に次々と交換する事で対応する事になりました。その辺は流石TTE!ラリーで培われたピット作業の早さを十分に発揮させています。しかし、結局トップを走っていた29号車も、3度目にミッションが壊れた時にリタイアとなってしまいました。
 左のモデルは、そんな'98スペックのTS020の27号車。トヨタとは名ばかりで、スタッフのほとんどが外人さんの中で、日本を代表する片山右京、鈴木亜久里、土屋圭一がドライブしたマシンです。確かフェニックスをイメージした(うろ覚えです)という赤・白のカラーリングは、日本の国旗の色でもありますが、どう考えても「霜降り肉」にしか見えません・・・(爆)。ミニチャンプス製のモデルで、サイドのカーボンケプラー風な処理も見事ですし、特徴的なボディデザインもよく再現されていると思います。TS020と言えば、やはりボディデザインが命ですからねぇ。'00〜'02まで3連覇を果たしたアウディR8も、オープンプロトではあるものの、実は同じ様なデザインなんですよねぇ。そういう意味では、このTS020のボディは「勝つ為のデザイン」であると言えるかも知れません。

inserted by FC2 system