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'93 Mercedes 190E Kl.1 #2
AMG Berlin 2000

MAKER:MINICHAMPS
MODEL No.:430 933230
SIRIAL No.:
DRIVER:E. Lohr

 ETCを始めとして、各国で開催されていたツーリングカーレースがGr.A規定で競われていた中、'84年からスタートしたDTM(Deutsche Tourenwagen Meisterschaft)でしたが、'92年途中、レギュレーション(公認部品)に対する解釈の違いから、V8クワトロで2年連続チャンピオンを獲得していたアウディが撤退。それを皮切りに翌'93年にはBMWが活動の場をBTCCへと移す為、そしてオペルのワークスチームがマシン開発の遅れとライバルチームの不参加を理由にそれぞれ撤退(オペルはスポット参戦あり)する事になり、それまで人気を博していたDTMに、一転して暗雲が立ちこめます。そんな中、'93年からDTMに取り入れられたのが、FIAが新しく制定したクラス1規定の導入でした。
 BTCCやJTCCで採用されたクラス2規定がGr.Aの流れを汲む2リッター、NAエンジンの量産車がベースであるのに対し、2.5リッター、6気筒以下のエンジンを搭載するクラス1規定は、グループAのエボリューションモデル(500台生産)の閉め出しを目的としたものの、その中身はエンジンからサスペンション、ボディに至るまで自由度の高いハイレベルなマシンの制作が可能となっていました。
 '88年のワークス(AMG)参戦以来、190Eを投入し続けたメルセデスは、初期の2.3-16から2.5-16エボリューションを経て、'90年にはエボリューションIIへと進化。'92年には遂に念願のシリーズタイトルを手に入れていました。本来、'93年には新型Cクラスをベースとするマシンを投入する計画だったメルセデスでしたが、前述の通りアウディやBMWといったライバルがDTMから撤退した事により計画変更を余儀なくされ、Cクラス投入の計画は白紙('94年投入へと延期)に戻されました。そんな折、アルファロメオがクラス1車輛の155V6 TIを引っ提げてDTMに参戦する事が決定。突然湧いて出たライバルをチャンピオンとして迎え撃つ為、急遽メルセデスが制作したクラス1車輛が、190E クラス1でした。
 しかし、翌'94年からはCクラスベースの本格的なクラス1カーの導入を予定していた事から、'93年にメルセデスが投入した190E クラス1は、アルファロメオのクラス1マシン、155 V6 TIと較べると明らかに中途半端なマシンで、言ってみればGr.Aエボリューションとクラス1規定の中間的なマシン、190EエボIIの正常進化版、「エボIII」といった程度のものでした。
 アルファロメオがV6エンジンで420PSを発揮するのに対し、190E クラス1は鋳鉄ブロックにアルミ合金製ヘッドを組み合わせた2,490ccのオーソドックスなM102E 25/2、直列4気筒エンジンで、出力は375PS/9,000rpm、30.6kg-m/7,500rpm。予選仕様で10,400rpmまで回すという、直4ユニットとしては限界に近い仕様。CクラスでV6にスイッチする事を考えれば、ほぼ限界に近いと言えるかもしれません。一方サスペンションはフロント:ダブルウィッシュボーン、リア:マルリチンクを踏襲しながら、クラス1規定の恩恵を受けてレーシングカー的なコンセプトで仕上げられ、ボディもオーバーフェンダーの拡大により51mm拡幅。エアロパーツも一新され、より迫力が増しました。
 こうして登場した190E クラス1は、AMGから4台(ベルリン2000×2、ソナックス×2)、ザクスピード(ディーベルス・アルト×2)から2台の計6台が順次投入されましたが、やはり本格的なクラス1マシンとして登場したアルファロメオと較べるとその性能の差は如何ともし難く、全10イベント20戦中、アルファロメオ12勝、メルセデス8勝(ノンタイトル戦を含めるとアルファ14勝:メルセデス8勝)と、新参のアルファロメオにシリーズタイトルを奪われる結果となってしまいました。
 左のマシンは'93年のDTMにAMGからエントリーした190Eクラス1で、ミニチャンプス製。男顔負けの走りで人気があった女性ドライバー、エレン・ロールがドライブした2号車です。この年のメルセデスは、6台のワークスカーを投入して、その内K. ルドヴィグとE. ロールがドライブしたのが、「ベルリン2000」と言われるカラーリングのマシンでした。2000年のオリンピックをベルリンに招致する為のキャンペーンの一環として、ドイツの著名人のサインがボディ全体にちりばめられたデザインが特徴ですが、結局ベルリン招致は失敗し、2000年のオリンピックはシドニーで開催されました。
 さて、モデルに関してですが、流石に古いモデルなので、最近のモデルと較べるとアラも目立ちます。そんな中最大の問題は、今なら絶対にタンポ印刷で処理されるであろう、ボディにちりばめられたサインが、全てデカールで処理されている事でしょう。経年変化の為、各所にデカールの浮きや剥がれが目立ち、保管には注意が必要です。

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