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'96 Mercedes C-Class DTM #2

MAKER:MINICHAMPS
MODEL No.:430 963602
SIRIAL No.:
DRIVER:D. FRANCHITTI

 '95年、DTMがオイシイ市場である事に気づいたFIAの目論見でITCとのダブル・タイトルになったDTMでしたが、'96年になると、完全にITCに乗っ取られてしまいました。しかし、国際化に伴う極度な参戦コストの高騰により、各チームが撤退を表明。結局ITC(DTM)は、この年で終焉を迎えてしまいます。
 さて、そのDTM最後の年にサーキットを沸かせたのが、今回紹介するメルセデスCクラスです。Cクラスは、'94年からメルセデスが投入しているモデルですが、実は市販車開発時に既にDTM参戦を想定していたと言われています。ライバルのアルファ・ロメオ155やオペル・カリブラが4輪駆動を選択する中、頑にFRが採用されたCクラスでしたが、メルセデスは4輪駆動に対抗する手段として、秘密兵器を開発しました。
 一般にラップタイムを稼ごうと思えば、コーナリング・スピードを高めれば良いですが、その中でも特にコーナーの脱出速度を稼ぐ事が重要です。4輪駆動車がFRのマシンに比べてアドバンテージを持っているのはこの点なわけですが、逆に後輪のグリップ力を高められるのであれば、元々前後重量配分の良いFRならば、4輪駆動に一矢報いることができるハズです。そうした考えから生まれたのが、「ムービング・ウェイト」です。車体下面の前後方向にレールを敷き、そのレールを伝って電子制御でウェイトを移動させるという信じられないシステムです。コーナーの進入〜旋回状態では、車体中心寄りにウェイトを移動させて慣性モーメントを減らし、コーナー脱出時にはウェイトがレール上を一気に車体後端にまで移動して、後輪を強制的に地面に押し付けるというものです。
 こんなシステムを搭載するだけでも反則っぽいのに、メルセデスはさらに飛んでもない事をやってしまいます。2レース制のDTMにおいて、激しい接触により破壊されたマシンを短いインターバルで修理する為の手段として、バルクヘッドに締め付けられたボルトを外すだけで、マシンをフロントセクション、キャビン、リアセクションの3つに分ける事ができるようにデザインしたのです。
 とまぁ、こんなトンデモマシンのCクラス。'96年には、前年にチャンピオンを獲得したエースのベルント・シュナイダーの他、フォーミュラ出身で2年目となるダリオ・フランキッティや新人のヤン・マグヌッセンを擁しますが、タイトルはオペルのマニュエル・ロイターの手に渡ってしまいます。そして終止白熱したバトルで沸いた旧DTMは、この年を持って終わりを迎えたのでした。
 左のマシンは'96年仕様のCクラスでミニチャンプス製。ダリオ・フランキッティがドライブした2号車です。モデル的には特に問題ありません。旧DTM最後の年という事でマシンもまさに最終形態、凄い迫力ですが、それを良く再現してると思います。ただでさえベンツって怖いのに、こんなのに後ろ付かれたら涙が出そうです(涙)。

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