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'99 AUDI R8C #9

MAKER:MINICHAMPS(AUDI特注)
MODEL No.:LMM031
SIRIAL No.:
DRIVER:T. BORCHELLER、O. GAVIN、F. KONRAD

 '99年のル・マンは、レース前から渾沌とした状態でした。それまで「メーカーは屋根付き、プライベーターは屋根なし」という、ある種の暗黙の了解があったル・マンにおいて、屋根なしのプロトタイプカー(LMP)が屋根付きGTPカーと比べて、レギュレーション上優遇された事によって、それまでGTPカーを走らせていたメーカーが、こぞってLMPに注目してきたからです。その結果パノス日産がLMPに鞍替えすることになるんですが、そんな中、最後までどちらの選択もできなかったのがアウディ。なんとR8R(LMP)と、R8C(GTP)という2種類を製作してエントリーしてきました。
 本来はアウディ・スポーツとサウスゲートが開発した、屋根なしのR8Rのみで参戦する予定だったにも拘らず、完成したR8Rはパワー不足を筆頭に問題だらけで、結局レギュレーション上は(2インチ細いタイヤを義務付けられていても)約50PS大きな出力を与える事ができるGTPマシンを急遽開発せざるを得なかったと言うのが実際のところ。
 で、その開発を請け負ったのが、アウディに買収された元トムスGB、つまりRTN(
Racing Technology Norfolk )。先行開発されていたR8Rと同様のエンジン、ミッション(実際にはR8Rのミッションはパワーアシスト付き)を使って開発され、R8Rで問題となっていたフロントラジエターは、コクピットの左右に移設され、その結果ダクトの取り回しが複雑になったものの、フロントノーズを下げて前面投影面積も小さくなった事により、ドラッグを減らすことができました。
 かろうじてスターティンググリッドについたR8Cは、それまでBTCCでアウディA4を走らせていた、リチャード・ロイド率いるアウディ・スポーツUKの手でル・マンを走りましたが、結局トラブルを多発して9号車、10号車共に早々に戦線を離脱する事になります。足りないフロントダウンフォースや脆弱なミッション、冷却系といった弱点を克服するには、開発時間が圧倒的に不足していたのでした。
 左のモデルはミニチャンプス製のアウディのディーラー特注品です。台座、紙箱が通常のミニチャンプス製品と異なります。他モデルデはディーラー特注品とオリジナル品では仕様が異なる場合もありますが、このモデルに関しては一緒だと思います。
 巷ではボロクソに言われた車ですが、個人的には'99年に出場したマシンの中では好きな車(オープンプロトが嫌いだったから)の1つです。このマシンを開発したRTNが、後にベントレー EXP SPEED 8を製作した事を考えると、考え方自体はあながち間違ってはいないと思うんですけどねぇ。

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